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営業がうまくいかなくて、辛い料理を食べることになっている君たちへ

1日中履いた靴下をを脱いだとき、ヒヤヒヤしながらも鼻の前に持ってきてしまう。胸を締め付け、生唾を飲む音が耳を突き刺し、明らかにストレスを感じているのに、倒れるまで追い込むことを決めてる筋トレやラントレに、ワクワクをしてる自分に気が付く。そんな、怖っかしいけれど、気になっちゃいやめめられないモノやコトがある人は、きっと僕だけじゃないんだと思う。

お店の注文メニューを見て、○辛の最大値を選ぶ決意をする瞬間。蒙古タンメンの北極ラーメンが運ばれるのをカウンターで待っている瞬間。激辛料理に含まれるカプサイシンが鼻を直撃する瞬間。
激辛料理を食べることも僕にとっては、怖っかしいけれど、気になっちゃい辞められないモノやコトの1つ。

今や、辛い料理が好きな僕が、辛い料理を食べることになったキッカケと、その後日談を聞いて欲しい。


辛い料理が好きになったキッカケ

僕は、社会人7年目の営業一筋のサラリーマンだ。1社目は、大学卒業後に出版社に入りファッション雑誌の広告営業をしていた。編集者になって洒脱でマブイ大人になりたかったのに、広告営業という就活中には考えたこともない仕事に就くことになった。

配属されてみたら、営業の方がハイブランドからファストファッションまで、会ってみたいブランドの人に会いに行けるから、色んな洒脱でマブイ大人に会えるぞ!と気がついた。だったら、色んなブランドに突撃できる営業の方が、洒脱でマブイ大人に早くなれるかもと、素直バカを発動して営業を頑張ることにした。

OJTとか特に何もない会社だったので、配属後1年ちょっとは毎日のように雑誌を読んで好きなブランドで自分の会社の取引がないブランドにテレアポしたり、好きなブランドに営業に行く先輩を勝手に追いかけたりという生活をしていた。営業の右も左もわからないながらに、ノリとテンションで幾つか受注もしたこともあった。

けれども、系統だって誰かの営業センスを学んだり、営業のマニュアルを勉強したりしたわけじゃない。さながら、MPCを触りはじめたJ Dillaと一緒である。

僕には才能がないから、J Dillaみたいに我流に良いところがないわけだ。そのことを、たまたま商談に同席してくれた先輩が気がついてくれて、営業の指導をしてくれるようになった。その先輩をM先輩と、ここでは呼ばせていただきます。

M先輩は、今日の僕が当時を思い返しても、凄い営業マンだと思う。そんな、当時の僕には後ろ髪も触れられない(その人は刈り上げなんだけど…)ほど、遠い存在の人から教えてもらえることは嬉しくて仕方がなかった。

そのときの指導方法が、、、

・某大手ファッションECサイトの「A」〜「ん」まで、全部に電話をする
・電話をしたら必ず商談打診をする
・商談になったら、一緒に商談に行く
・商談終了後、振り返りをしながら会社に戻る

という感じだった。
この商談終了後の振り返りで、商談内容が合格点を下回った場合、罰ゲームとして激辛料理を食べることになっていた。パワハラ論争ギリギリのラインのことかもしれないが、僕は素直バカなので自分へのパワハラをしてもらえることは基本的にはOKとさせてもらってる。

その後、M先輩の指導は1年弱くらい続いた。けれども、激辛料理を食べなくて良い日が訪れることなく、M先輩は転職してしまった。

いなくなってからは、、、
「今日の商談にM先輩がいたら、激辛料理だったか?」
と商談後に自問自答して、毎日激辛料理を食べる日々だった。。。。

時は流れて今、僕はこの記事が書かれているnoteを運営する、note株式会社で働いている。今も営業として、note proという法人向けnoteアカウントの営業をしている。

M先輩との交流は定期的に続いていたが、今年の夏頃に連絡をとった際、M先輩の会社に営業をさせてもらえることになった。

これは自問自答を続けていた「今日の商談にM先輩がいたら、激辛料理だったか?」の答え合わせをする絶好の機会だと思い、すぐに日程調整をした。

当日の商談は14時からだったが、ランチは商談後に実施すると腹に決めながら、JRのM駅を降り立った。前職で営業が上手くいかなくて涙を流した駅でもある。ちょうどいいバトルフィールドだ。

M駅から歩いて5分ほどの場所に、M先輩のオフィスはある。約束の時間の10分前から、オフィスの入り口で待機をしていた。これもM先輩の教えだ。時間になり、受付の受話器からM先輩を呼び出した。M先輩は飲みにいく時と同じような顔で優しく向かい入れてくれた。

応接室で名刺交換をするときに、当たり前なことに気がついた。これまで、商談の場所にM先輩と僕がいるときは、同じ方向を向いて横並びに座っていた。それなのに、今日は対面で座っているのだ。座ったときにこれに気がつき、急に緊張感が込み上げてきた。

商談自体は「なんで話を聞きたいと思ってくれたのか」「何が気になってるのか」「サービス詳細」「今後どうしたいか」という、いつも通りの商談内容だった。商談が終わり、少し雑談をしているときに、あの言葉は訪れたのだ。

「もう、辛い料理食べなくてもいいな!!」

「今日の商談にM先輩がいたら、激辛料理だったか?」という4年近く続けていた自問自答のプレッシャーから解き放たれた瞬間だった。

それどころか、「この人の営業スタイルすごいよね」とか「こんな営業やれるようになりたいよね」といった、営業論を同じサラリーマン目線として会話させてもらうことができたのだ。

商談が終わり、オフィスを出た僕は、改めてふと思った。

「罰ゲームで辛い料理を食べなくて、もういいんだ。。。」

何かに縛られていたような思いが晴れた僕は、まだランチを食べていないことを思い出した。時間は15時を過ぎていてランチタイムが終わっているお店も多かった。が、僕の足取りは軽かった。だって、何を食べてもいいんだから!

するとそこに、ふと真っ赤な風貌のお店が目に入った。そう「蒙古タンメン中本」だ。ふと激辛料理のお店を見て、僕は思い直した。本当に、今日の僕の商談は100点だったのだろうか?まだ出来たことがあるんじゃないか?と、自省した。

まだまだ、今日の商談の場所を参加者全員にとって最良にするために、自分に出来ることはあったな、と。自分のパフォーマンスは、陸上選手が大事な試合に向けてピーキングをしてシーズンベスト、プライベートベストを出すようなパフォーマンスだったのか、と。

そんなことをグルグル考えて、気がつくと僕は「蒙古タンメン中本」のカウンターに座っていた。そう、今日の商談が僕の理想の商談を100%表現できてはいないと気がついた。

蒙古タンメン中本を食べながら、目からは汗が出ていた。その汗は、カプサイシンの刺激によるのか、これまでの頑張りの緊張が緩んだのか、まだまだ未熟な自分に対してなのか、今も謎である。

北極ラーメンじゃないご褒美をしたけど、北極ラーメンのほうが好きだな

今年、あるスーパー営業パーソンの商談を受ける機会があった。その商談には、僕が見たこともないような世界が広がっていて、もっともっと営業の高みがあるということを知った。

次は、あのステージにいけるように、日々の人生、お仕事、プライベートを楽しんで行きたいと思う。

そう、僕の辛い料理を食べる営業人生はこれからも続いていくのである。

辛い料理を食べなくてもいいように頑張ったこと

さて、ここからは辛い料理を食べなくても良くなるために、僕が気にしていたことを振り返ってみようと思う。

いま、世の中には辛い料理を食べることになっている人が沢山いるだろう。そんな人のお手伝いになれれば幸いだ。

  • 相手が何を求めているかを気にかける

「顧客視点」という言葉を耳にすると思うけど、ようはそれのことだと思っています。個人的には、この顧客視点を持つ際に、自分の事情をどれだけ棚に上げることができるか、が目線を合わせられる具合になると考えています。

人は誰かとコミュニケーション(挨拶、会話、相談、議論、取引、喧嘩、などなど)をする際に、自分の事情を味付けしてしまっていることがほとんどです。これは、無意識だし、言外になっていることがほとんどだと思います。

営業という場面であれば、どうしても自分が取り扱っている商品を売る、ということを考えてしまうもの。考えてしまうことは悪いことではないし、むしろ素敵なことだと思っています。

一方で、コミュニケーションの受け手は、営業側の事情のことなんか知ったこっちゃないし、考慮する必要もありません。むしろ、無意識に、言外に受け手自身の事情でコミュニケーションに応えることになります。

営業という場面であれば、話を聞いてくれるからといって、必ずしも営業の商品に興味があるとは限らない。全く別の事情から、話を聞こうと思ってるかもしれません。

営業をしていると、相手の言葉や話している内容と、自分の商品に繋がりが出そうになると、売り込みや説明をしたくなります(僕自身もそうです)。だけれど、は全く別の事情から、その言葉や話をしたのかもしれません。

だから、僕は「あなたは何に興味があるのか」「普段どんなことをしてるのか」「どうして、そういう言葉を使うのか」「その質問は、何を知りたくてしてるのか」といったかことを気にするようにしています。

ちょっと難しい話になるけれど、その際にはタルコット・パーソンズという社会学者の「パターン変数」の考え方を用いると、コミュニケーション相手の裏にある想いや事情を把握しやすくなるな、と最近感じています。

“パターン変数:行為者が客体に関わる時の関係性の性質を記述する(あれか、これか)」
1感受的/感情中立的
2集合指向的/自己指向的
3個別主義/普遍主義
4属性主義/業績主義
5無限定性(人格的)/限定性(物象的)”

そういったコミュニケーションの結果、相談内容のベスト解が自分の取り扱う商品じゃないことや、そもそも全く違う相談だった、なんてことは良く出くわします。それでも、その相談に真摯に、なるべく相手の事情に配慮をしながら、商談を進めていくべきだと、僕は心に決めています。

そうしていれば長い人生で、何かに悩んだときの相談相手として思い返してもらえるかもしれないし、そんな相談の中で、自分が直接的な解決手段を提供できるなんて素敵なこともあるかもしれない。

そんなことを気にしながら、日々営業活動に取り組ませてもろてます。

いつまでも、どこまでも辛い料理が食べたい

最後に、よく食べてた辛い料理のお店を4つ。

💡この記事はnoteのみんな Advent Calendar 2023 8日目の記事です。


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